エアプラス®について

エアプラス®は空気の病気に悩まされている住まいのために開発された独自の特許バイオプロテクト技術を活用したまったく新しい建築工法です。エアプラス®は人にやさしい乳酸菌テクノロジーでローコストで安全に現代空気の問題を解決することができます。

現代空気の深刻な問題

私たちは1日20kgもの空気を吸っています。その量は1日に口から取り入れる物質の83%にもなります。ですが空気の中身を私たちはあまり気にかけていません。私たちはたまに「人は空気(酸素)がないと生きていけない。」と冗談を言ったりしますが、空気の問題は非常に深刻なレベルに達しており、決して冗談ごとで済まされる話ではなくなってきています。

現在、空気汚染による死者数は増加の一途をたどっています。IEA(国際エネルギー機関)の報告[1]によると空気汚染による世界での死者数は大気汚染で年間300万人、室内空気汚染で350万人、計650万人にも達することを公表しています。2040年にはさらに150万人増えると考えられているようです。世界の交通事故死亡者数が約125万人であることを考えると、空気汚染が私たちにとって最も身近な問題であり、かつ深刻な社会問題になっていることがわかります。

『全ての人は清浄な室内空気を呼吸する権利を有する』

2000年、WHO欧州事務局ワーキンググループは空気汚染の深刻な事態を懸念し、「健康な室内空気のため権利」[2]というレポートをまとめました。その一節にあるのが上記の「呼吸する権利」というものです。では、呼吸する権利とはどういったものなのでしょうか?

空気は誰の所有物でもないので私たちはいつでも自由に呼吸することができます。ただし、私たちは吸う空気を選ぶことができませんでした。これまで空気を吸う自由はあっても、空気を選ぶ権利はなかったというわけです。しかし、空気が私たちの健康的な生活を脅かすほどの深刻な脅威になったことで、当たり前に清浄な空気を吸えることは私たちに認められる基本的人権でなければならないと考えるようになります。

自由であったものを権利と再定義したことはすごく大きな変化です。すべての人が等しくきれいな空気を吸うことを目指す以上、事業者には空気汚染に弱い人にも安全な空気を届ける義務が生まれます。指針値を下回っても解決できないのであれば、それ以上の対策を自主的に取り組むことがこれから事業者に求められることになります。

空気を科学する

まずは空気が何からできているのかをみてみましょう。空気のほとんとは窒素と酸素です。その割合は全体の99%なので、空気は基本的にこの2つの気体で構成されているといっても言い過ぎではありません。さらに残り1%のほとんどはアルゴンと二酸化炭素という気体ですので、わずか0.03%のその他の“物質X”が空気の質を大きく左右していることになります。


図 空気の化学組成

“物質X”の正体

表 室内濃度指針値(厚生労働省)

対象物質 濃度
二酸化炭素 1,000ppm
一酸化炭素 10ppm
粉塵 0.15μg/m3
ホルムアルデヒド 0.08ppm
アセトアルデヒド 0.03ppm
トルエン 0.07ppm
キシレン 0.2ppm
スチレン 0.05ppm
エチルベンゼン 0.88ppm
パラジクロロベンゼン 0.04ppm
フタル酸ジ-n-ブチル 0.05ppm
クロルピリホス 0.07ppb
テトラデカン 0.04ppm
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル 7.6ppm
ダイアジノン 0.02ppm
フェノブカルブ 3.8ppm
TVOC 400μg/m3

“物質X”といっても実は一つの物質ではありません。有機物や無機物がまじりあった複合物、それが“物質X”の正体といえます。

それでは物質Xがどういったものかを説明します。先ほど説明した二酸化炭素の次に少ないのがネオン、その次にヘリウム、メタン、クリプトンと続きます。さらに少ないヨウ素は空気中に1億分の1%以下しか含まれていません。人口で例えるならば、ヨウ素は日本人の全人口の中に1人だけというぐらい少ないことになります。これらの物質は自然に普通に存在しており、過剰にならなければ無害です。ですが同じぐらい少ない量の物質が私たちに甚大な被害をもたらすことがあります。

厚生労働省の室内濃度指針値リストをみてみましょう。二酸化炭素や一酸化炭素のように指針値が高いものもありますが、たいていは1億分の1%濃度が指針値になっています。このほんのわずかな量の空気種による空気汚染で私たちは病気を発症し、最悪の場合は死に至ります。この事実を踏まえると空気質のほんの少しの変化だけでも私たちの体にはすさまじい変化が起きていることになります。

この健康被害をもたらす低濃度空気汚染物質、特に有害な化学物質を減らすことこそが清浄な室内空気を手に入れ、健康的な生活を送るために最も重要で、解決することが非常に難しい課題となっています。

天然物という化学物質

それでは健康に害をなす化学物質についてさらに考えてみます。

環境省が配布しているパンフレット「わたしたちの生活と化学物質」によると化学物質は元素2つ以上でできた化合物のことを化学物質と呼んでおり、水や二酸化炭素もその一つです。つまり身の回りにあるあらゆるものは化学物質からできています。

私たちは「化学物質≒悪玉物質」といったイメージを持っています。これは水や二酸化炭素のように元から自然にあった化学物質とは違い、私たち人間が新しい化学物質を作ることができるようになったことが原因にあります。本来地球上になかったものがこの世に誕生したために何か悪いものであるように錯覚しているのです。ですが、作られた化学物質ももともと地球上にあった天然物が原料なのですから、私たちが作った人工物と呼ばれる化学物質も天然物と呼ばれる化学物質も親は同じ兄弟ということになります。

例えば天然化学物質の例を挙げて考えてみましょう。最強の猛毒と謳われたダイオキシン。実はこれも天然物です。化学合成ができなかった太古の時代の地層からもダイオキシンは検出されていますが、ダイオキシンは山火事などでも自然発生しており、決して焼却炉だけから出ているわけではありません。住まいの健康被害の元凶とされるホルムアルデヒドでさえ大気中で自然に発生します。これらの物質が悪玉とされたのはその毒性と使用量が原因で、単に合成された化学物質だから悪いというわけではありません。健康被害をもたらす化学物質は天然物と人工物のどちらにもあります。合成だから悪玉ということではなく、安全でない化学物質が氾濫している現代社会にこそ問題があるという認識を持たなければ、空気汚染の問題解決の糸口さえつかめないのではないでしょうか。

住まいでも同じで「無垢だから」、「天然だから」という説明だけでは不十分です。全ての人が真に清浄な空気を安心して呼吸できる社会を実現していくために、私たちは安全な空気を提供できていない事実を深く反省し、課題を抱える現状に甘えるのではなく、安全を追求し続ける姿勢が必要とされています。

空気汚染と室内微生物(室内フローラ)

このように私たちの目に見えない空気を考えるうえで空気の量よりも質に注目する必要があります。室内で氾濫する化学物質の害を減らすためには、私たちは正しい知識と素直な技術が必要となります。エアプラス®は室内空気の健全度の中で見落とされている『室内微生物(室内フローラ)』について検討を重ねてきました。

最近では腸内フローラという単語をよく耳にします。腸内フローラとは腸の中を観察すると微生物が花畑のように存在していることを表現した言葉で、この言葉にちなんで室内にたくさん存在している微生物の様子をエアプラス®では室内フローラと呼んでいます。室内フローラは湿度や温度などのお部屋の空気の少しの変化が大きく影響することが分かっています。また室内フローラは建材や家具などに使用される化学薬品の影響を受けて著しく悪化し、住まいは病にかかってしまうことがあります。

化学薬品だけでは室内フローラの悪化を防げない!

室内フローラの悪化は病気を引き起こすなど、私たちの健康にも被害をもたらします。そのため抗菌グッズが流行しましたが、それがさらに化学薬品の害を増やすことになります。室内フローラの悪化と薬品使用は比例して増えているのです。そして抗菌グッズを使用することで、耐性菌を生み出すなど新たな問題が発生しています。このように化学薬品に頼るだけでは室内フローラを改善することはできないのです。

そこで生み出されたのがエアプラス®です。エアプラス®は化学薬品ではなく、微生物の中で安全性が高い乳酸菌を活用した建築技術で、バイオプロテクト技術として特許も取得しています。乳酸菌を使用することで化学薬品の使用量を削減し、化学薬品による害を軽減することができます。エアプラス®は乳酸菌で根元から空気質を改善し、私たちの健康と生活を守ることに役立ちます。

エアプラス®テクノロジーについて詳しく知りたい方は バイオプロテクト技術 のページをご覧ください。

『すべての人に健康な室内空気を』

すべての人が等しく健康な室内空気を吸うことができる社会を実現すること。これがエアプラス®の使命です。現代空気が抱える課題を克服し、すべての人を空気の病から解放するためにエアプラス®は開発されました。そして、人や動物、植物などにも本当の健康空気を届けたいと考えています。この使命のために、エアプラス®は空気を大切にするすべての人たちと協力し、健康空気空間を実現します。

参考文献

  • [1] Small increase in energy investment could cut premature deaths from air pollution in half by 2040, says new IEA report, 2016, IEA
  • [2] The Right to Healthy Indoor Air, 2000, WHO/Europe